TOFEL ITP試験とは
現在のTOFELの主流はコンピューターで受験するTOFEL iBTになります。
TOFEL ITPは過去にTOFELの主流であったペーパーテスト形式のPBT(現在は実施されていない)を流用した団体受験形式の試験です。
大学・大学院のクラス分けや入学試験、交換留学の試験などに使用されることが多いようです。
TOFEL ITPというマニアックな試験を受けることになった私。
TOFEL ITPを受けるまでの準備期間は約2か月。
結果としてListening Comprehension, Structure and Written Expression, Reading Comprehensionの各セクションで9割ほど得点できました。
TOFEL ITPはTOFEL iBTにくらべてマイナーな試験。
試験対策のための情報がほとんどなくどの本を使うのが効率的なのかもわからない状況でした。
TOFEL ITPに向けた学習をする時どの参考書が定番かもわからず、とりあえず複数の参考書を大人買い。
一通り解いて対策したので今後受験する方の参考になればと思います。
TOFEL ITP対策本のレビュー
ここから紹介する本は全て使用したものになります。
使用感は個人的な感想なので、あくまで参考程度に考えてください。
Listening Comprehension対策の問題集
リスニングは日本人が最も苦手とする分野です。
私も最初に勉強し始めたときは全く解けず愕然としましたが本番ではリスニングがもっとも点数を稼げました。
TOFEL ITP テストリスニング問題集 旺文社
非常にシンプルなリスニング本で解説はほとんど書かれていません。
難易度は本番に比べるとほぼ同様-やや難な印象です。
メリット:本番前にとにかく問題をたくさんやりこむにはこのシンプルさはちょうどよいです。
デメリット:出てくる表現や単語の解説はほぼないのでちょっとわからないことがあると一々調べないといけないのは限られた時間で勉強している身としてはストレスでした。
使い方としては本番に向けた仕上げが良い気がします。
TOFEL ITP TEST リスニング完全攻略 語研
非常にボリュームのある参考書です。
メリット:問題に丁寧な解説がついているのでこの本一つで勉強が完了するのが良いです。
デメリット:重要表現など紹介はしているものの使用例などなくただ羅列されているだけで暗記しようという気がわかないレイアウトなのはいただけません。
問題数が多いがゆえに問題ごとに難易度のばらつきがありますが総じてやや難な印象です。
問題の中でよく出題される熟語表現がでてくるのでリスニングはとりあえずこの本で勉強しておけば大きく外さない印象です。
リスニングに1冊しか使わないならこの参考書でよいかな。
Structure and Written Expression対策の問題集
一番の得点源になるという噂の文法セクション。
述するトラブルの影響もありましたが、実は私は一番得点をおとしました。
時間制限が一番厳しいのもこのセクションです。
本番を見据えてとにかくすべての問題に目を通す練習をするのが一番得点を最大化する近道だと思います。
全問正解するTOFEL ITP文法問題対策 語研
文法対策はこの本一冊で十分です。
難易度は本番と同様からやや簡単な程度だと思います。
メリット:TOFELの本質をよくついている問題集で文の構造に着目して回答する考え方が身に付きます。
デメリット:わからない単語は自分で調べないといけないくらい。
TOFELで出てくる文法問題は単語が比較的難解ですが問われている文法事項はシンプルなものが多くパターンも似ています。
単語が理解できなくても主語-動詞-目的語-副詞などの構造が見えていれば解答に至れる問題が非常に多い。
文法問題は文の内容が理解できなくても文の構造が理解できれば簡単に解けることを気づかせてくれる本です。
全問正解するTOFEL ITP TEST文法問題580問 語研
メリット:問題数が多いことと単語の解説があるのでわからない単語が出てきても調べなくてもよいのが良いところです。難しい単語が多いので単語の勉強にもなります。
デメリット:文法問題としてはマニアックな問題も結構な数が含まれておりTOFELの難易度としては難しすぎると思います。
満点を狙うならやっても良いと思いますが、そうでなければ限られて勉強時間でやるには蛇足かもしれません。
Reading Comprehension対策の問題集
TOFEL ITP テスト リーディングスピードマスター Jリサーチ出版
メリット:問題数が多いところが良いところです。難易度は本番と同じくらいですかね。リーディングは問題数をやりこんで様々なジャンルの文章に馴染む必要があるので練習にちょうどよい本だと思います。
デメリット:特にないです。
TOFEL ITPテストリーディング教本 テイエス企画
メリット:レイアウトが見やすく単語などを確認しながら復習できるので勉強しやすいのが特徴。
デメリット:難易度が少し簡単なのと問題数が少ないのが欠点かもしれません。
とっつきやすい内容なの長文に苦手意識のある人はこの本から取り組んでもよいでしょう。
総合対策本と実践模試の問題集
All in Oneや実践問題集形式のものもレビューしてみます。
TOFEL ITP テスト 研究社
メリット:日本語では唯一のETS公式ガイド本です。本番同様の難易度を体感できる本です。最初に解いてもよし、最後に解いてもよし。
デメリット:なし。必ず入手しましょう。
TOFELはとにかく時間制限との闘いになります。
おすすめの使い方:本番に向けて時間制限を体感するために一通り勉強してある程度得点がとれる自信がついた時点で使用するのが良いと思います。
TOFEL ITP テスト完全制覇 theJapantimes
駿台予備校のスタッフが作成した比較的新しい問題集です。
メリット:分厚いですが1-2週間もあれば一通りやれてしまうと思います。絶対的な演習量としては足りないと思いますが、コストパフォーマンスは非常に優れた本だと思います。
デメリット:長文の読み方メソッドも紹介されていますがTOFEL ITPの試験に関しては必ずしも有用でない印象です(理由は後述あり)。
学習するテーマが明確に設けられているので一番参考書らしい参考書です。
問題数は少な目ですが一つ一つの問題は難易度としてはちょっと難しめです。
リスニングセクションがしっかり解説されておりリスニング対策として購入してもよいように思います。
TOFEL ITP TEST 実践問題集 語研
メリット:3回分のTOFEL ITPテストが載っています。
デメリット:正直TOFEL ITPの傾向からはちょっとはずれた問題が多くいまいちだと感じたかな。
やる問題集なければやってもいいかなくらい。
TOFEL 単語と熟語の対策本
TOFELテスト英単語3800 旺文社
メリット:この本にでてくる単語を記憶していればかなり楽なことは間違いないです。単語を勉強したければこの本で十分すぎると思います。
デメリット:例文が少ない。
ただかなり高得点を狙うとかでなければTOFEL ITPの単語力は長文や文法、リスニングで出てきたわからない単語を覚えていくだけで十分だと思います。
TOFELテスト英熟語700 旺文社
内容は正直難しくないです。
メリット:CDが秀逸で聞き流しても勉強になるのが良い点。通勤などのお供という感じ。
デメリット:簡単すぎる表現が多い。
各セクションで得点を最大化する方法
Listening Comprehensionは意外と対策しやすい
リスニングは対策をしても点が取りにくい分野という意見もありますが、じつはリスニングは一番コストパフォーマンスがよい分野だと思います。
全く対策しないと会話の内容は意味不明です。
私も巷の文法に力を入れろという意見を参考に最初の1か月くらいは文法問題集を何となく解いて勉強した気になっていました。
そろそろ本番を見据えてリスニングを聞いてみたら難しくて全く解けず、正直焦りました。
もともと大したリスニング力もないので当然なのですが。
やばいなと思ってからはなるべくリスニングを聴く頻度を増やしていく中でTOFELのリスニングは対策さえすれば点数を稼げることに気が付きました。
リスニング対策その1 キャンパスライフに関する知識を覚えよう
典型的な表現を覚えたり、問題集でキャンパスライフに関する知識を入れるだけで全然違います。
リスニングセクションでは北米の大学に留学した場合を想定した問題しかでません。
特に会話形式の問題はキャンパスライフに関することが中心になります。
したがってキャンパスライフに関わる話題や単語を問題集などで慣れておく必要があります。
学生寮やクラブ活動、履修、アルバイト、ボランティア活動、学費のことなどよく出てくるシチュエーションを中心におさえましょう。
北米の大学生の学生生活を理解するだけでかなりの会話問題を解答できるようになると思います。
細かいところが聞こえなくても正解にたどり着けるようになります。
リスニング対策その2 一般教養の問題は聴くポイントを絞ろう
講義形式の問題の対策です。学生へのレクチャーの聞き取りが中心となります。
はじめに何のレクチャーか必ず言うのでそこは聞き逃さないように集中しましょう。
多少聞き逃してもOKです。聞き取れる部分はしっかり聞き逃さないことが大事です。
レクチャーの中で試験や課題に関する話題が出た場合は要注意。
リスニング対策その3 プラスかマイナスかで正解を選ぶ
英語は口調やイントネーションだけでも話し手が否定的か肯定的な意見かわかります。
リスニングセクションでは選択肢が比較的素直なものが多いので、会話の内容がプラス(肯定的な話題)かマイナス(否定的な話題)かを基準に選択肢を選ぶだけでもある程度どれが正解か予想できます。
Structure and Written Expressionは時間との戦いだ
マニアックなあまり英文法は出てこないように思います。
とにかく制限時間が厳しいので制限時間以内に解けるようにひたすら練習するのが近道だと思います。
「全問正解するTOFEL ITP文法問題対策」を使って一瞬で解ける問題を増やしつつ、「考えればわかるけど解くのに時間がかかってしまう問題」にどこまで時間をかけるかの自分なりの感覚を養うと良いです。
タイマーを見ながら問題を解く方法はオススメしません。かならず本番同様に腕時計などで時間を見ながら解くようにしましょう。
私は携帯のタイマー機能を使いながら、時間を確認しつつ練習して全部解き切れる自信をもって本番に臨みました。
しかしながらハプニング発生。
ハプニングその1:文法セクションの開始時に時計を確認しなかったために残り何分かわからなくなり焦る。
ハプニングその2:普段なら一瞬で正解を選んで終わりの問題でも「間違えたらやだから一応他の選択肢も検討しておこう」という本番特有の心理的な落とし穴にはまり気が付いたら時間が無くなり大量失点してしまいました。
みなさんは気を付けてください。
Reading Comprehensionには王道がある
リーディングに関してはパラグラフリーディングなどのメソッドがありますが私はTOFELのリーディングの王道は「文章を読みつつ問題に解答する」だと思います。
リーディングは様々な方法を試しましたがこの方法が一番良いです。
最初に文章全体のテーマを問うような問題が出た場合のみその問題は後回しにますが、基本は文章を読みながら順番に解いていきましょう。
なぜならTOFELの問題はほぼ文章の流れに沿って出題されるうえに同一パラグラフ内に答えが書いてあるからです。
流れとしては「1パラグラフ読む」→「問題を解く」→「次のパラグラフの内容に関する問題まで解きすすめたら、次のパラグラフを読む」→「問題を解く」→以下ループ
この方法なら「文章はなんとか読んだけど時間切れで最後の方の問題に全く手を付けられなかった」=「文章を読むのに投資した時間に見合う点数を回収できない」という悲劇も起こりません。
最後の帳尻が合わせやすいのでぎりぎりまで粘って、時間がなくなれば適当にマークするという戦略も立てられます。
リーディングでは単語問題が結構でますが市販の問題集で問われるような難解な単語はほとんど出題されなくない?というのが正直な感想です。
平易な単語をしっかり使えるかという方がTOFEL ITPでは大事だと思いま
効率の良い勉強法に単語学習は必須か?
個人的意見としては単語帳をやり込むのは限られた時間で点数を最大化するのによくないと思います。
勉強するほうが望ましいと思いますが、TOFEL ITPに関して限られた時間で単語は勉強すべきかはかなり疑問に思います。
英単語の学習はさほど重要ではない2つの理由
英語において単語力は底力になるのは間違いないです。
たくさんの単語がわかるほど問題は簡単に解けるし、文章を理解するスピードも速くなります。
しかしTOFEL ITPの点数を限られた学習時間で得点を最大化しようと考えたときに最優先される事項でないです。
その1 長文では前後の文意から単語の内容は推測できる。
わからない単語がでても多くの場合は文章のなかで推測ができます。
推測なんて無理という場合は語彙力だけじゃなく、背景知識が足りないことが原因のことも多いと思います。
例えば「植物と光には密接な関係がある~」という一文で始まる文章があったとします。
光合成を知っている人であれば、この時点で光合成に関する文章だろうなと予想しながら読むことができます。
単語帳で覚えた単語は直ぐに忘れてしまいますが、文章やリスニングで出てきた単語は定着します。
わからない単語が出てきたら必ずわかるように
単語帳を読み込むよりはなるべく多くの文章を読む方が様々なトピックの知識(日本人には馴染みの薄いアメリカの歴史や文化)が手に入るし、出てきたわからない単語をチェックしていけば語彙力もついて一石二鳥だと思います。
その2 難解な単語が点数に与える影響が少ない
公式の過去問や本番を通しての感想ですが、前述したように難解な単語が単語問題として出題される可能性は低いように思います。
リーディングやリスニングセクションに比べて文法セクションで出題される文章は単語の難易度が高めです。
文法セクションだけみるとTOFEL=単語が難解という印象を持ちますが、文法問題では単語の意味がわかるかは点数に影響しません。
単語の訳はわからないけど名詞だなとかその程度わかれば十分です。
「文章の意味が分かったうえで正解を選べる人」と「文章の意味が分からないけど正解を選べる人」は英語力の点では雲泥の差がありますがTOFELの試験において点数には一緒です。
最後に
試験は時間との勝負です。
トイレに行くとしたら試験時間を削らないといけません。
私はトイレに行き損ねた挙句、尿意を我慢しながらの試験になってしまいました。(あほです)
長時間の試験になるので、試験前はなるべく水は飲まない、トイレは済ませておくというのを徹底しましょう。